- Yusuke Fujisawa ( Professional Connector)
パーティクリエーター/DJ アフロマンスさんとの対話

—お話しできることをとても楽しみにしておりました!よろしくお願いいたします!
アフロマンスさん はーい。なんでもどうぞ!
—早速ですが、最近面白かったことありますか?
アフロマンスさん 最近だと公開しないでキャンプイベントをやったことかな。
—公開していないとはなんですか?
アフロマンスさん オープンに告知してないってこと。1人ずつ声をかけて集めた感じ。
イベントとかフェスって、大きなものでも小さなものでも、誰が参加するかが超大事なんだよね。飲み会の時に、そこに来ている人が違えば全く別ものじゃない。それと同じ。
例えば、フェスに参加するかどうかって、まず出演者のラインナップを見るよね?
—そうですね。ラインナップを見て、出演者が自分に刺さってるかどうかで行くか決めますね。
アフロマンスさん でもね、実はそれは違う。
—え?
アフロマンスさん 参加者がイベントやフェスに行くキッカケは、出演者かもしれないけど、体験の質はそこに集まっている参加者の質に影響しているってこと。ステージに出てるアーティストがいいかどうかもあるけど、どういう人が集まるかによって、持ち帰る感想は変わるんだよね。
—なるほど。それは考えたことがなかったです。アフロさんはイベントの企画側ですが、どういう時に気付いたのですか?
アフロマンスさん 一度、自分のバースデーイベントで500人くらい集まったことがあって、その中の8割は知らない人だったんだよね。そのとき、すごく違和感があった(笑)。
—確かに違和感ありますね(笑)知らない人から祝われる違和感。
アフロマンスさん そう。知らない500人から祝われるよりも、気の知れたヤツら50人から祝われた方が嬉しいってことに、その時気付いた(笑)。
—その通りですね。
アフロマンスさん そこで、これってバースデーに限らないと思ったんだよね。知ってる同士だと暗黙の了解があってさ。
例えばコール好きの人が集まってコールが始まると、みんなノッてやる訳じゃない?そこには「阿呍の呼吸」があるわけでしょ。
—阿呍の呼吸。なんとなくわかります(笑)。
アフロマンスさん オタクが集まって、オタ芸を始める。それに合わせて、周りのオタクも踊り始める。でもさ、ギャルとか文化人も混在していたらその場は成立しない。オタクの価値観、ギャルの価値観、文化人の価値観、それぞれあるわけで。
Burning Manもそれに近くて。暗黙のガイドラインがあって、その価値観を共有している人たちじゃないと成立しないんだよね。
—面白いですね。
アフロマンスさん それこそ、さっき言った「公開しないキャンプ」の話。誰がお客さんで、誰が運営、みたいな隔たりがなかった。受付もない。
—知人だけでキャンプ行くとそうなりますよね。
アフロマンスさん 不特定多数に向けてイベントやると、受付がないと皆お金払わないでしょ。でも、知っている人だけだと「あっそうだ、参加費ちょうだい」ってすぐにもらえるよね。
—「お金あとで渡すね」みたいなノリですよね。究極の信頼関係で成り立っている感じでしょうか?
アフロマンスさん うーん、信頼関係というか、提供する側・提供される側というのがない、フラットな感じ。
それぞれやりたい人が勝手にやりたいことをやって、場を作り上げる感じだった。DJしたい人はDJしたりして。
—それこそミニBurning Manみたいなイベントを、そのキャンプでやったイメージですか?
アフロマンスさん 自分が居心地いいイベントを追求したら、Burning Manっぽくなったのかもね。1日楽しんで朝になると、そこらへんにゴミがあるわけ。そうしたら、「はい、片付けするよ。」って軽く声かけたら、みんなで片付け始める、そんな感じ。
ちなみに集まっている人は、僕が知っているだけで、お互いは知り合いじゃないんだよね。何だったら、10年ぶりに会う高校の同級生も呼んじゃってるし(笑)
—まさにアフロさんのつながりだけで呼んだんですね。
アフロマンスさん そう。今回の企画に合うなと思った人しか呼んでない。だから、みんな勝手に仲良くなってた(笑)
—お話を伺っていると面白いと思うことは、アメリカで発祥したBurning Manの成り立ちを、アフロさんはこのキャンプで得たわけですね。
アフロマンスさん 発祥や成り立ちはわからないけど、Burning Manの最初の方は、もしかしたらこんな感じなのかもなって思うよね。
—こういう場が成立したのはアフロさんの価値観とか、この人呼びたいなという「人の見極め」が大事だと思うんですが、それって何かあるんでしょうか??呼びたい人の条件とか。
アフロマンスさん 久し振りに会いたいっていう人を呼んだだけ。日々忙しくて会えないから。
—ちなみにアフロさんが会いたい人ってどんな人なんですか?
アフロマンスさん 感覚が近い人かな。根本的に「楽しいことがしたい」って人。
—楽しいって何でしょうか。
アフロマンスさん うーん。何だろうね。
僕の場合でいくと、何かをつくりたい。何かをつくって、皆に喜んでもらう。それが楽しいかな。

—その原体験ってありますか?
アフロマンスさん 子供の頃、漫画を描いていた事かな。僕のおじいちゃんは画家だった。その影響もあって漫画描きまくって、周りに見せて喜んでもらって。文章を書くのも好きだったし。
—それで何かをつくりたい、みんなに喜んでもらいたい、が楽しい事なんですね。
アフロマンスさん そうそう。何かつくって、人に喜んでもらう事は好きだよ。
—すごく共感できますね。話は変わりますが、漫画は何がお好きですか?
アフロマンスさん 最近はハンターハンターがすごく好き。
—僕もです(笑)ハンターハンターの話をしませんか。もし現実だったらアフロさんはご自身は何系だと思いますか?
アフロマンスさん 何系だろうね(笑)放出系じゃないかな。強化系でいたいんだけど、あれ放出系でした、みたいな。
—現実に置き換えると、アフロさんが強化系だとすると、イベント自体を強化するイメージ。放出系だったら、DJの立場からオーディエンスに念を放出するイメージがあります(笑)。
アフロマンスさん DJだったら放出じゃなくて、フロアをコントロールする操作系じゃない?(笑)
—あ、操作系ですかね(笑)
アフロマンスさん 僕はハンターハンターに対しては完全に読者だから、現実に置き換えたらってことは、全く考えたことなかった。
—僕は結構、現実に置き換えていますね。実際あるじゃないですか。うわ、この人オーラすごいなとか。それは何か人間のエネルギー量を凌駕している、まさに念能力じゃないかと。
アフロマンスさん エネルギーかはわからないんだけど、脳波かなにかは感じる時あるよ。
—脳波ですか?
アフロマンスさん そう。特にDJやライブをやってる時かな。でかいスピーカーを通して音楽かけるじゃん。でもさ、かける人によって全然違うんだよね。同じ曲でも全く聴こえ方が違う。テクニックでもないし、速さやリズムでもないし。
—確かに。何ででしょうかね。
アフロマンスさん 僕は、脳波なんじゃないかなって思うんだよね。場を制する何か。
—それってワンピースの覇気じゃないですか(笑)。
アフロマンスさん ワンピースはちゃんと読んでない(笑)。散々いろんなクリエイターと一緒にやってると「場を制する人」がいるわけよ。
—場を制する人ですか。
アフロマンスさん 優秀なクリエイターは、「何か」があるんだよね。話し方ってわけでもないし、考えがロジカルかどうかもでもない。でも、聞いている周りはその人に同調するというか。引き込まれちゃう。その人から場を制する何かが出ている感じ。
—なんでしょうね。
アフロマンスさん とりあえず、ぶれない。人に気を使ってない・・・
あっ、思い出した!「確信力」だ。確かに信じる力。クエリエイターにとって何が大事なのか、一度考えたことがあって。
—確かに信じる力ですか。まさに念能力ですよね。
アフロマンスさん これは絶対に良い、と。みんな理解できないかもしれないけど、信じている感じが伝わる感じ。たまに、すごい妄信だったって場合もある。でも、みんな「うんうん」って言っちゃうみたいな(笑)。
—なるほど。
アフロマンスさん 例えば、ある人が「俺はすごいデカい建物を絶対に建てるんだ」という妄信に近い確信力があるとするじゃない。その人に、周りの人も動かされてしまう。その確信の度合いが強ければ強いほど、場を制する。
—今後、より重要になるのは確信力を持つことだなと感じました。
「楽しいことをやり続ける」というアフロさんの言葉など、僕はすごく共感していまして、確信力を持つためには、時には変人だと言われても自分を信じ続ける必要があると思います。そのためには、今後どうしたら良いんでしょうか。
アフロマンスさん それはまずやってみることかな。だってやってみないとわからないし、それが「楽しい」かもわからないでしょ。

—まさに体験が大事ということですね。
アフロマンスさん そうそう。体験が大事。まず体験しないと確信にはならないよね。だから、経験ってことなのかな。確信力を鍛えるってことは。
—ありがとうございます。では別の質問をさせてください。イベントを作る上で大事にされていることってありますか?
アフロマンスさん それは自分が納得できるかどうかでしょうね。でも今やっていることに、まさに納得できていないんだよね(笑)
—アフロさんのTwitterを拝見していて、最近、何か悶々とされているTweetありましたね(笑)
アフロマンスさん あるプロジェクトで一緒にやってるメンバーから「ダサくないですか。」って言われたのね。何かっていうと、あるクライアントとそのメンバーと三者でプロジェクトをやっていて、クライアントに言われることに対して、代理店的な立場になってたんだよね。右向いたら、右向いてください的な。それで「ダサくないですか。」って言われて、自分も納得できるまで、もっと戦わなくちゃって思った。
自分のエゴと社会とのぶつかり合いだよね。自分のエゴと社会は常には一致しないから。そういう一致しなかった時に、何を選ぶかじゃないかな。
—なるほど。何を選ぶか、ですか。
アフロマンスさん 自分を取るためには戦わなくちゃいけないし、その戦った先に第三の答えが出てくるかもしれないじゃない。
—そうですね。まさに社会とのぶつかりですね。僕は、過去エンジニアを経験して、ゲームのコードを書いていたことがあるので、すごくこの話は理解できますね。ドラクエのようなロールプレイングゲームだと分かり易いですが、何かアクションしないとイベントが発生しないことに近いですね。現実だと、揺らぎというか決まったコードの世界ではないですけれど、行動することによって、起こるイベントが変わっていくという。
アフロマンスさん 今の話を聞いて、ふと思ったんだけどね。
—はい。
アフロマンスさん 一流のクリエイターってさ、もしかしたら人の話を聞かないじゃないかなって(笑)。
—確かに。って、今聞いてなかったんですか?(笑)。
アフロマンスさん 今、僕なりに色んなクリエイターたちのことを思い浮かべながら聞いていたんだけど、「あっ多分この話聞かないな。」って思ったんだよね(笑)それで「確信力」と、話を聞いていないってことは関係があるんじゃないかと思って。
—あー、わかるかもしれません(笑)。
アフロマンスさん 人の話を聞かない能力というか。
対話が出来ないから、人としてダメかもしれないけど(笑)。
—ありがとうございます。最後の質問になります。僕は車が好きで運転するのですが、車の中って落ち着くし、異質な空間なので、その空間で楽しめるコンテンツが提供できたら面白いかなと考えていまして。これから車の自動運転が発達していった先に、この異質な空間でイベントやサービスを仕掛けていくとしたらアフロさんなら何をやられますか?
アフロマンスさん 車内にお湯が溜まって、お風呂になってたらいいよね。オープンカーで海沿いを走ったら気持ちいいし。ちょうどサイズもいいからお風呂はありかな。もちろん水着でね。
—お風呂ですか(笑)。確かに超気持ちよさそうですね。本日は楽しいお話と貴重なお時間をありがとうございました。引き続き、よろしくお願い致します。
アフロマンスさん それじゃ、また「パーティー」でね。

アフロマンス/Profile
アイディアで非日常体験をつくりだすパーティークリエイター/DJ。株式会社Afro&Co.代表。
ソーシャル時代のインサイトを捉えた体験の設計、メディアやSNSの情報の設計、新感覚の空間プロデュースなど、幅広く手がける。
これまでの実績として、2012年、都内初の泡パーティーを主催し、数日で3000名の応募が殺到。その後「泡パ®」の名称で全国に展開し、野外フェス「泡フェス」や、ファミリー向けの「泡パーク」など、様々なアーティスト、企業、地方自治体、コンテンツとコラボレーションしながら、日本に「泡ムーブメント」を巻き起こした。
また、1万枚のチケットが即ソールドアウトした街中を巨大ウォータースライダーに変える「Slide the City」、28万名の応募が集まったスカイランタンを飛ばす絶景フェス「The Lantern Fest」の他、平日の朝6時半から通勤通学前に踊る「早朝フェス」、ハウスミュージックに合わせてマグロをさばく「マグロハウス」、有明海の干潟の泥に浸かれるバー「GATA-BAR from SAGA」、原宿に出現したギャザリング専用スペース「Star Gathering House」など、手がけるプロジェクトは多岐に渡る。
エンターテイメントの可能性を信じ、世の中に新しいワクワクを提供するべく活動している。