キングコング/絵本作家  西野亮廣(ニシノアキヒロ)さんとの対話


注:今回はエアーでの対話になります。対話する予定でしたが今回新しい企画として、実際に西野さんがブログや本、講演会などで発信されている情報を元に対話形式に置き換えている内容になります。西野さんからは内容をご確認頂き、承認を受けていますので、ご安心してお読みください。

藤沢 本日は、お時間頂きましてありがとうございます。

エアー西野さん いや、本当だよ。正直、こんなインタビュー受けるくらいなら手売りで「革命のファンファーレ」を売ったり、レターポットについて議論した方が価値あるし。どうしてくれるの。

藤沢 すみません。そんな忙しい西野さんですが、是非もっと質問をぶつけてみたくて。

エアー西野さん Yahooニュースに載らないくらいの質問なら答えないよ!!

藤沢 頑張ります。(笑)早速ですが、今話題の、「革命のファンファーレ」について質問させてください。

エアー西野さん 仕方ないけど、じゃあ質問していいよ。

藤沢 ありがとうございます。「革命のファンファーレ」ではまずやりたいことをやれ!複数の名刺や肩書きを作るメリットを主張されていますが、これについて伺わせてください。西野さんは、どうしてこのようなことを主張するようになったのか何か原体験をお持ちでしょうか。

エアー西野さん そうだね、これは「えんとつ町のプペル」を作った時が原体験だね。僕は去年、『えんとつ町のプペル』という絵本を発表したんだけれど、この作品の制作に費やした時間は4年半。これは、芸人としての収入があったから可能だったわけで、絵本作家一本で活動していたら、4年半も収入が途絶えてしまうような作品の制作には手を出すことはできない。肩書きを複数個掛け持ち、収入源を複数個確保できていたから、そういった作品を作る権利を手にすることができたわけだ。

「結局、何がやりたいんだ! 一つに決めろ!」という常識に従っていたら、生まれてこなかった作品なんだよね。

藤沢 なるほど。複数の肩書きを持つからこそ実現できたということですね。少し話が変わりますが、今、AIだったり既存に仕事を代替していくような技術がどんどんと発達していることも、複数肩書きを持つことに拍車をかけているかもしれませんね。

エアー西野さん そうそう。多くの大人は「職業は永遠に続く」という前提で話を進めてくる。だから、すぐに、「お前は何屋さんなんだ!?」と肩書きを付けたがる。上の世代の皆様には申し訳ないが、今はそんな時代ではない。

スマホの登場以降、職業がなくなる場面をたくさん見てきたでしょ? アマゾンに潰された本屋さんを見てきたでしょ?

「ロボットタクシー」という言葉が飛び交っている今の時代に、「タクシードライバーになりたい!」という発想にはならないだろう?15年前は「タクシードライバーという職業がなくなるかもしれない」なんて想像もしなかった。

20年前は、日本の本屋さんがここまでのハイペースで潰れていくことなんて想像もしなかった。職業そのものがなくなっていく時代に突入し、副業、兼業、転職が常識になりつつあるよね。上の世代は、職業をたくさん掛け持つと「結局、何がやりたいんだ! 一つに決めろ!」と咎めてくるけれど、どっこい、やりたいことを掛け持つことや、やりたいことに迷うことは、これからの時代を生き抜く術だと思う。

「生物が生き残ろうとして、何が悪い?」

藤沢 人は時代に適応して進化し続けないと生き残れませんしね。

エアー西野さん そうそう。今の時代に「◯◯になる!」と肩書きを一つに決め込む方が、よっぽど危険だよ。やりたいことが見つからないことは、間違いでも何でもない。肩書きそのものが猛スピードでなくなっていく時代にキチンと対応できている証拠だ。「アッチがダメなら、コッチだ!」と、肩書きを移動できる準備ができているわけだ。

周りはとやかく言ってくるかもしれないが、肩書きを一つに絞れずに肩身の狭い思いをしているあなたは大丈夫、何も間違っちゃいない。いくつかの職業を掛け持つことで新しい選択肢だって生まれる。

藤沢 確かにそうですね。ちなみに、やりたいことを見つけるために必要なことは何ですか。

エアー西野さん そうだね。例えば、「やりたいことが見つからない」と言う人がいるけど、これを読んでいるあなたも、もしかしたら、その一人かもしれない。そして、大人はあなたを指して、「ゆとり世代」だとか、「さとり世代」だとか、「草食」だとか云々かんぬん。

自分達に比べて、まるで最近の若者は"人としての能力が低い"といった言い草だよね。僕は小学2年の頃に芸人に憧れて、そのまま今まで来ちゃったので、余計に。「なんで、やりたいことがないの?」と思っていた。ただ、「やりたいことが見つからない」を肯定するところから考えてみると、なるほど、理解ができるようになった。ようやく年下の背中が見えてきたんだよね。

藤沢 年下の背中ですか?

エアー西野さん そう。農業革命よりも、産業革命よりも、大きな革命が、よりによって僕らの時代を直撃した。それが情報革命。インターネットにより、距離や時間がなくなったよね。当然、距離や時間に結びついていたいくつかの仕事もなくなる。くわえて、ロボット技術もグイグイ伸びてきている。ものの売り方が変わり、働き方が変わり、お金の形が変わり、常識が変わり、道徳が変わっていく。超高速回転で。そして、残念なことに、経験したことを僕らに教えてくれる存在であったハズの親や先生は、この革命を経験していない。

たとえば、あなたの親は、こんなことを言うだろうね。「好きなことをして生きていけるほど、世の中は甘くない」と。親世代の常識は『お金=ストレスの対価』だ。ところがどうだ?ストレスがかかる仕事から順にロボット化されていき、ストレスがかかる仕事がみるみる世の中からなくなっていくではないか。自動改札機が生まれ、改札口から駅員が姿を消したような変化が、今アチコチで起こっている。「好きなことをして生きていけるほど、世の中は甘くない」と言われても、好きでもない仕事は消え、好きなことしか残らなくなってきている。ここからは、“好きなことを仕事化するしか道が残されていない”時代だ。多くの親や先生は、この変化を捉えていない。

彼らは、この大波の乗り越え方を知らないんだよ。

だから、僕らは自分自身の手や足を使い、僕らの身の回りに起こっている変化を、学び、実践し、思い知り、対応していかなければならない。この変化から目を背けた人間から脱落していく。既得権益を守り始めた人間から終わりが始まる。

藤沢 情報革命によって時代が変革している中で、自分が好きなことしか残らなくってきていると。さらに言うとこの変化の波に乗らないと脱落していくと。そのためには、まず自分の好きなことをしてみることが大事ですよね。

エアー西野さん 僕は学者じゃないので体験談を話すけど、この1年間の自分の活動の成功と失敗を、数字を交えてお話しよう。

1年前に出版したビジネス書『魔法のコンパス ~道なき道の歩き方~』の発行部数は10万5000部。

絵本『えんとつ町のプペル』の発行部数は30万部。オリコン2017年上半期“本”ランキングでは、児童書部門とタレント本部門の2冠を達成。『えんとつ町のプペル』を作る際のクラウドファンディングは2度実施して、支援者数が9550人。支援額が5650万4552円。これにより、これまでのクラウドファンディングの合計支援者数は、1万5000人を突破、合計支援額は1億円を突破。クラウドファンディングの国内歴代トップ。

藤沢 すごいですね。

エアー西野さん 個展『えんとつ町のプペル展』の動員数は60万人を突破した。これだけ見れば順風満帆だけど、どっこい、失敗が可視化されていないだけで、キチンと失敗もしているんだよね。成功や失敗には、マグレも不運も存在しない。成功と失敗の裏にあるのは、理由と原因だけ。すべて数学。僕自身が体験した成功と失敗、そして理由と原因を振り返りながら、「今後僕らは、どのように身を振っていれば、この大変革の時代の動きを捉えることができるのか?」について、僕がお話できる限りのことは全てお話ししようと思う。

藤沢 最初は乗り気じゃなかったのに、ありがとうございます。

エアー西野さん いや、本当だよ。正直、こんなインタビュー受けるくらいなら手売りで「革命のファンファーレ」を売ったり、レターポットについて議論した方が価値あるし。どうしてくれるの。

藤沢 西野さんはどうやって、今お話ししてくださったことを実現していったんですか?

エアー西野さん 結論、多くのお金を集めることができたからだね。「お金」とは信用を数値化したもの。たとえば、魚を100匹売りさばいた時に「この人は魚を100匹売りさばいた信用のおける人ですよー」という『信用証明書』が貰える。その後、自転車が欲しければ、自分が持っている信用証明書と自転車を交換してもらう。言うまでもないが、この信用証明書の名前が『お金』だ。信用証明書(お金)の形は、貝殻から始まり、貨幣になり、紙幣になり、クレジットカードという"数値"になり…時代に合わせて変化してきたよね。

最初は稀少な素材で信用証明書が作られて、信用証明書の価値は素材そのもの(貝とか金とか)の価値とイコールであったが、「稀少な素材がなかなか見つからねーよ」となって、希少でも何でもない素材が硬貨に混ぜられるようになり(これを「改鋳」って言うんだぜ!)、「つーか、硬貨って重くね? 持ち歩くのに便利な紙にしね?」とか誰かが言い出して、信用証明書の"素材そのもの"の価値は綺麗サッパリ無くなった。

昔は1万円が1万円で作られていたが、現在、1万円札は約20円で作られている。

このように形や素材の価値はコロコロ変われど、信用証明書(お金)を介して交換されているものは今も昔も変わらない。『信用』だと思う。お金とは「信用を数値化したもの」だと思う。

つまり、信用を集めることができたので、多くのお金が集まり、企画を実現できたんだと思う。

藤沢 なるほど。「革命のファンファーレ」の中で、お金の集め方について「クラウドファンディング」のお話をされていますよね。

エアー西野さん そうそう。絵本『えんとつ町のプペル』の制作費用は、「クラウドファンディング」で集めた。説明するまでもないとは思うが、「クラウドファンディング」というのは、インターネット上で企画をプレゼンし、一般の方から支援を募るアレだよね。

藤沢 アレですね。

エアー西野さん そうアレ。『えんとつ町のプペル』のクラウドファンディングは、2度に分けておこなったんだよね。絵本の制作費を集める時と、絵本を知ってもらう為の個展を無料開催する時の2度。2度のクラウドファンディングを合計すると、支援額が5650万4552円、支援者数は9550人。支援者数は、当時、日本のクラウドファンディングの歴代最高記録だった。これから資金調達の方法として、クラウドファンディングの戦い方についての話をさせてもらうけど、話をする前に押さえておきたいポイントは、クラウドファンディングは金が成る木ではないということ。

藤沢 金が成る木、、、。

エアー西野さん そう。僕はよくクラウドファンディングのサイトをチェックしているが、同じような企画でも、100万円集まる人と、1円も集まらない人がいる。そして、もしかしたら、これは皆さんにとって意外な情報かもしれないけれど、テレビタレントのクラウドファンディングの戦績は、すこぶる悪い。僕の親友であり、生物史上もっとも面白い生物である久保田君(とろサーモン)が、『衰退していく劇場に息吹きを!』と題し、若手時代にお世話になった劇場の修繕費用をクラウドファンディングで募ったが、目標金額20万円に対して、集まった金額が8万1500円で爆死。過度のストレスにより、久保田君の頭髪はみるみる衰退していった。

彼は現在、頭頂部の毛が完全に無い理由を「メルカリで売った」と言い張るが、その実、クラウドファンディングの敗戦によるものであったのだ。「認知」と「人気」の違いってさ。スマホ登場前後で時代は明らかに変わったのに、以前の方法論のままテレビに出続けるということは、噓を重ねなければならない場面に出くわしてしまうということだよね。噓を重ねれば、当然、信用は離れていく。そのタレントが辿り着く場所は『人気タレント』ではなく、『認知タレント』。

藤沢 認知タレントですか。。

エアー西野さん そう。お金を払ってくれる人を「ファン」とするのなら、人気タレントにはファンがいるが、認知タレントにはファンがいない。信用がないからだ。ベッキーとゲスの極み乙女。が例として分かりやすい。

不倫をしても活動を続けることができたゲスの極み乙女。に対して、ベッキーの活動が、たった一度の不倫で全て止まった理由は、彼女が『認知タレント』で、ファンを抱えていなかったからに他ならない。スポンサーが離れ、広告費以外の場所でお金を稼ぐしかなくなったわけだが、ファン(ダイレクト課金者)がいないからお金を生み出すことができない。テレビタレントとしてのリクエストに徹底的に応え続けた結果だと思う。

現代のテレビ広告ビジネスの、最大の落とし穴だと思う。

藤沢 芸能界のお金の流れが変わってきているかもしれませんよね。

エアー西野さん うん。先日とある番組のクラウドファンディングの特集で取材に来られたディレクターさんが「なんで、西野さんはクラウドファンディングで高額が集まるんですか?」と訊いてこられたので、「信用があるからじゃないですか?」とお返ししたら、「そんなに好感度が低いのに?(笑)」と返ってきた。アホをこじらせて来春まで寝込めばいい。

藤沢 (笑) 炎上芸人というレッテルを勝手につけられていますしね。

エアー西野さん 『好感度』と『信用』、『認知』と『人気』は、それぞれまったく別物だよ。ちなみに、『テレビタレント』と『クラウドファンディング』の相性はすこぶる悪いが、『アーティスト』と『クラウドファンディング』の相性はバカみたいに良い。良すぎる。基本、ギャラの出所がスポンサーでなく、お客さんからの"ダイレクト課金"で生活を回しているアーティストは噓をつくメリットがないので、当然、信用度も高い。

藤沢 信用をどう作るかをもう少し具体的にお話ししていただけますか?

エアー西野さん おっと。もう時間だ。ホームレス芸人の小谷に会いに行かないと。君が思うほど僕は時間がないので。

藤沢 いえ、本日は貴重なお話をありがとうございました。詳細は、「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」を読めってことでしょうか。

エアー西野さん そうだね。興味持ってくれたら嬉しいし、欲しい人がいれば直接僕にTwitterでもなんでもメッセージくれたら贈るしね。まったく、こんな対話だとYAHOOニュースに載らないよ。

藤沢 すみません。せめて「革命のファンファーレ」について記事をシェアいたしますので。

エアー西野さん 今後、僕は仔猫のようになつきます。宜しくお願いしますニャン😻

西野亮廣(Akihiro Nishino)/Profile

1980年7月3日生まれ。兵庫県出身。吉本興業所属。絵本作家、俳優、お笑い芸人。漫才コンビキングコングのツッコミ、ネタ作り担当として活動。相方は梶原雄太。総合芸能学院(NSC)在学中である2000年にNHK上方漫才コンテストにて最優秀賞を受賞。さらに翌年、ABCお笑い新人グランプリ最優秀新人賞、上方お笑い大賞最優秀新人賞を受賞している。作家を志し、独学で絵を学ぶと、約5年の月日をかけ制作した初の作品となる絵本『Dr.インクの星空キネマ』を2009年1月26日に発売、にしの あきひろ名義で絵本作家としてデビュー。のち、4年半の制作期間を経て「えんとつ町のプペル」を出版。絵本としては異例の30万部以上の大ヒットを記録。2017年に、あらゆるランキングのトップをとっているビジネス書「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」など、その多彩な才能により数々の熱狂を生み出している今最も影響力のある人物の一人。


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