Yusuke Fujisawa
DMM 人事部長 林英治郎さんとの対話
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藤沢 今日はよろしくお願いします!
林 よろしくお願いします。
藤沢 この番組は、私が独断と偏見で選んだ魅力的な方にアプローチして、その人のユニークさをハックしていこうと思っています。
林 私はハックされるわけですね。
藤沢 はい(笑)。何をハックするかはまだ分かりませんが。基本的にカジュアルに緩く対話形式で進めたいです。
林 了解です。
藤沢 早速ですが、簡単に林さんの自己紹介をしてもらえますでしょうか。
林 はい。私は今、DMMの人事部長という立場で責任者をやっておりまして。これまでの経験で言うと10年ちょっと、採用をメインでやってきておりますが、直近は労務や教育もやっています。
藤沢 ありがとうございます。実は、僕と林さんは、今日でお会いするのが2回目でして。
林 そうですね。
藤沢 仕事はずっとしてきてるんですけど(笑)。
林 ずっとチャットでしたね(笑)。
藤沢 今時ですかね(笑)。林さんに話を伺おうと思ったきっかけなんですが、僕自身、DeNA、リクルートという新規事業を作る文化・風土にいて。ことに向かう、やり切るという。
林 おもねらず、やってきたわけですね(笑)。
藤沢 はい、やり切ったかはわからないですが(笑)。
林 (笑)。
藤沢 仕事としてお付き合いさせていただく中で、DMMさんは魅力的だなとずっと感じてまして。

林 藤沢さんからは結構、人をご紹介いただきましたよね。
藤沢 はい、コネクターとしてやらせていただきました。一つ目の質問なんですが、DMMさんはどういう文化・風土だとお考えでしょうか。
林 DMMは今、3000人規模の会社になってきていて、外から見ると事業が30〜40もあって謎な会社として見られてしまうんですよね。事業部でみても、50~70もあるので、前提として、文化として一括りに語れないということはあると思います。
そうした中で、各事業や事業責任者が代表取締役として事業の方向を色々とリードしていくことが成立していけば良いと。
藤沢 なるほど。
林 なので生態系がそれぞれで生きていれば良いなと。人事の方針として考えているのは、「自立的に、変化に対応し続ける組織」であり続けたい。
各事業、各部署が脈絡がないことも結構するんですけど、それぞれがその課題に対して向き合って解決して、自立的に成長し続けることのサポートや支援をしたい、と考えています。
藤沢 すばらしいですね。
林 なのでガチャっと上から手を入れるというよりも、変化を促していけるような自分たちが変わっていく、いけることのサポートや支援をする。その上で、自由に挑戦し続けていける人たちが増える。そんな文化・風土になれば良いと考えています。
藤沢 ありがとうございます。私自身、林さんからは、日頃からどんな組織にしていきたいのかを伺っておりまして。今では3000人規模の会社ですけれど最初はDMMさんもスモールスタートというか。小さい会社でしたもんね。
林 そうですね。会長は露天商ですからね、六本木だったかな。そこでレンタルビデオ屋もやって。

藤沢 不思議な会社ですよね。未だに上場もされていないですし。ただ、先ほどおっしゃったような、外から見ると謎な会社なんですけど、文化風土として圧倒的に魅力的な環境を整えていこうとされていますよね。
林 「価値観が合う人にとって」は、という意味で魅力的ですかね。結構、自立していないと辛いので。
藤沢 ありがとうございます。次の質問になりますが、林さんにとって「多様性」とはどう思われていますか。
林 まず外国籍が多くいるという意味で、社会的ないわゆる一般的な多様性というのは分かりやすい部分では既にありますと。自分で思うところで言うと、属性ではなく思考の多様性ということが重要だよね、と思います。バックグランドや経験が違う中で、何にアウトプットが出るかというと思考の部分。それが合わさっていって事業に良い影響を与えますとか、組織が成長すればとよいな、と思います。
藤沢 はい。
林 自立的に動くことを邪魔しないような枠組みっていうのはある程度は必要だと思うんです。ルールがないと、何していいか分からないですよね。 「自由すぎる不自由さ」じゃないですけど。ボール渡されても、どうしようかと。じゃあサッカーやれ、と言われればできるけど。サッカーという枠組みがあって、はじめて活躍できる。枠組みはざっと提供すべきだと。
DMMはここまでグッと成長する中で、あるような・ないようなという、事業を邪魔しない形で、ただここではメチャクチャ暴れて良いぜという枠組みは気持ち悪くならないように引き続き、提供していきたいと思います。
藤沢 いま、凄く刺さったワードがありまして。「自由すぎる不自由さ」なんですけど。どの組織においても起きうるなと思いました。というのも、日頃、私とご縁がある大企業やベンチャーの優秀な方々のお話を伺うと、みなさん新規事業を作りたいという声が多くて。
ただ、極端な話ですけど、本当に0から作れる人は、そもそも起業をされていたりしているので(笑)。組織の中で新規事業を作るというか、そういう文化を作る上でDMMさんでは枠組みというかある程度、ルールを設けていることが魅力的ですよね。
林 ルールというか、ガイドラインのようなものですかね。とはいえ一方で、信賞必罰というかモラルの部分で、良いものは良くて、ダメなものダメと言える。自由と規律って僕はすごい好きな言葉です。自由は大事だけれども、規律がないと組織は崩壊していくので。
藤沢 そのバランス感覚ですよね。組織としてどう植え付けていくか。醸成していくか。
林 そうなんですよね。行動経済学の理論で、ナッジ理論が好きで。直訳すると肘でこづくみたいな感じなんですけど。何かというと、人が特に明確に意識せずとも、無意識によって行動して、結果的に良い効果が生まれているって使われることがあるんですけど。

藤沢 おおー。
林 グーグル出身の方で書かれている本、「ワーク・ルールズ!」の中で、従業員に健康的なプロテインバーというか食事をして欲しいと。一方で、味の強いお菓子のような食べ物の方が減るのが早いと。健康的に働いていてもらいたいをどう実現していくのか、ポップアップでこっちが美味しい!と表示するとか(笑)。どう、それを促していけるのか考えるわけです。
それで結果的に実現できましたっていう話なんですが、プロテインバーの方は透明なボールの中にあって、お菓子などは黒くて中が見えないボールに入っていると。
人間は、自然と見える化されている方を選ぶんですって。健康になれなれって、いうんじゃなくて、自然とそういう風に健康になっていくのって、メチャクチャ良いじゃないですか。
なので、制度というかガイドラインもそうありたいなと考えています。
藤沢 林さんの知識と紐付けて、魅力的な文化作りに向けた考えを聞くことができました。そんな、魅力的な文化を作るために日々動いて向き合っている林さんですが、チームというか林さんにとって仲間に向けて大切にしていることは何でしょうか。
林 はい。もしかしたら明日言う事が変わるかもしれないですけど(笑)。
藤沢 それはこの対話の中だから問題ないと思います(笑)。ぜひ教えてください。
林 この会話をしていて思うことは、大切にしているのは自然と当人が力をつけていくことを支援していきたいことですね。あとは場面によって、理不尽な依頼も起こったり、降りかかってきたりするんです。
藤沢 理不尽な依頼、、ありますね(笑)。
林 こと人事部の中で理不尽が発生してしまう場合は、意地でも僕で止めるみたいなことはやってますね(笑)。
藤沢 (笑)。
林 理不尽というか、モチベーションを究極的にあげるってことは不可能だと思っていて。それよりも、下げ要因を極力ゼロにしておきたい。それを大切にしています。
藤沢 やー、素晴らしいです。林さんに話を伺いたいなと思ったきっかけも、この話に関連しているのですが、人とのお付き合いの仕方とか仕事とか特にそうですよね。
林 連絡を早く返すとか、自分がボトルネックにならない事が大事ですよね。

藤沢 それこそ御社の中で、経営企画室の長南さんともお付き合いさせていただいて思うのが、会社の素敵なキーマンの方とお仕事をさせていただくと、いつもメチャクチャレスポンスが早いですよね(笑)。
林 そうですね、みんな早いと思います(笑)。あとは良くも悪くもなんですが、気持ちよく仕事ができるかって、結局は日々積み重なっていくじゃないですか。1社目の代表が言っていた言葉で、仕事は信頼し合う、約束を果たし合うことだと。
藤沢 マナーとか、礼儀だとかスタンスが大事ですよね。あ、僕がそれができているかはおいといてですね(笑)。
林 僕も2割くらいですよ(笑)。
藤沢 最近ハマっている趣味はありますか。
林 ずっと無趣味できてたんですけど。最初聞かれる質問ってあるじゃないですか。何が趣味ですかって。自分の趣味がないから答えづらくて(笑)。でも1年半前から、パキッとできたのがサウナです。
藤沢 サウナ好きだと発信されてますもんね。
林 自分のタイムラインだと発信がうざいなと思って、最近では自分でグループページを作って、そこで発信しまくってます(笑)。
藤沢 では「サウナー・林」という面があるわけですね。
林 人事部と「サウナ行って飲む部」の部長は兼務ですね。同列です(笑)。
藤沢 (笑)。サウナ好きの皆さんは、ぜひ林さんにアプローチしてみてはいかがでしょうか。最後にサイコロトークみたいなことをしていまして。ごきげんようのあれですね。まだサイコロが届いていないので、エアーで聞いて良いですか。
林 はい。
藤沢 林さんからみて、僕の印象っていかがですか。

林 あー、印象ですか。うーん、僕は人に印象を持たなくて。事実は事実でしかないじゃないですか。例えば、親友であるとか友人であるとか知り合いであるとか、そういう括りってあると思いますが、会う頻度とかの事実はあるわけで。ラベル貼っているのは勝手に個人が貼っているだけなのであんまり印象って意味はないと思っています。例えば優しそうだなっとかってありますけど(笑)。
僕からすると、藤沢さんは仕事の面で気持ちよく仕事ができてるっていうのもあるし、こうして話す機会もそうだし、新しいこともやっていますよね。
事実としてそういう事があるという認識を持っています。そんな感じです。
藤沢 ありがとうございますっ!
林 うーん、藤沢さんの印象は、優しいんじゃないですかね(笑)。
藤沢 (笑)。今の会話の流れで、すごい面白い話が聞けたなと思うのが、タイムラインで得た情報なんですけどある方が時間の概念がないという書籍をシェアしていて。
まだ読んでいないのですが、時間の概念がないとか、それこそラベリングとかもこの世界に存在しうる変数って勝手に本人が意味付けしているだけであって、そういうことよりも、自分がしたいことに熱中する方が大事だなぁと思いました。
林 そうですね。あとは解釈を持って判断するというよりは、事実情報は事実情報としてフラットに捉えるべきだなと思いますね。
藤沢 大事ですね。本日は以上になります。林さんお時間をいただき、ありがとうございました!
林 ありがとうございました。
ゲスト:林 英治郎 さん
DMM.com 人事総務本部 人事部 部長
2008年、株式会社トライアンフにて、様々な企業の新卒採用・中途採用の企画から運用まで携わる。2012年、ソフトバンク株式会社にて、国内の販売職採用、事業部担当人事、グループ会社の人事戦略設計に従事。2017年、DMM.com社長室にて、開発体制変更に伴う人事制度の設計、導入を担当した後、現職に就任 。人・組織の力によって事業に貢献するための人事戦略全般をリード。